人は変わる

人事に関する仕事を長年してきて、たまにあるのが、「あんなに優秀でいい人だったのに・・・」という人が起こす不祥事やハラスメントなどの問題です。

そうしたことが起きた時に共通してあるのが、「この人・・・変わったな」と感じる点が少なからずあるということです。
当の本人は、そうしているつもりはなくても・・・です。

「人が変わった」というケースには、いろいろなケースがあります。

成長した・・・とか、改心した・・・などというポジティブなケースもありますが、問題が起きる場合に感じる「人が変わった」は、残念ながらそうしたケースとは異なります。
「どうしちゃったの?」とか「まさか・・・」と周りの人が感じるもので、ネガティブな意味で人が変わってしまっていることがほとんどです。

そして、そうしたケースを人事的な面から見てみると、その当人にとってはポジティブといえる出来事が起きていたりします。

例えば、「昇進して重要なポジションに就いた」とか「成績が認められて昇給したり、賞与をたくさん貰った」とか「その人がいなければ仕事が回らないという状況になっている」・・・などといった組織において重宝されている、あるいは権限や権力を持つようになったということです。

こうしたことは、本来、本人にとっても組織にとってもポジティブなことです。
ですが、そうしたポジティブな評価や力を有することによって、変わってしまう人もいるのです。

私の経験から分析してみると

絶対に・・・ということではありませんが、こうした変わってしまう人は、これまで苦汁をなめるや大きな失敗をしたことがなく比較的順風満帆に仕事をしてきた人が多いように思います。

これは何を表しているのか・・・

それは、自分が高い評価や大きな権力を有した時にこそ気をつけなければ、勘違いや驕りを知らず知らずのうちに持ってしまう・・・ということなのではないでしょうか。

勘違いや驕りとは・・・最初は「自分は優秀なんだ」とか「自分がいなければ何もできない」などいったものから、それが進むと「自分の言うことが聞けないのか」だとか「自分は何をやっても許される」などといったものになっていくその人の内面から生じてくるものだと言えるでしょう。
それは、「仕事は自分一人でやっているのではない」ということを忘れた結果・・・まさに「勘違い」であり「驕り」なのです。

裏を返せば、苦労や失敗をし反省をしてきた人は、「仕事は一人ではできない」「人の協力がなければ」ということを知っており感謝することを忘れないので、「勘違い」や「驕り」が生まれにくいのだと言えます。

だからこそ、順風満帆な時ほど、「仕事は一人でできるものではない」ということを意識し感謝を忘れずにすることが大切だと言えます。
そして、それは、より良い組織風土を生み周囲の人を苦しめないことにつながることはもちろん、自分自身の身を滅ぼさないための処方箋だと言えるでしょう。

あえて、失敗をする必要はありませんが、こうしたことを頭の片隅に置いておくのは大切なことではないでしょうか。

また、組織としても「こうしたことが起きうるのだ」ということを認識し、優秀な社員が変わってしまわないような仕組みづくりをしていくこと・・・
こうしたことも重要だと言えるでしょう。

ご縁に感謝!
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。