企業不祥事を防ぐために必要なこととは

不祥事を起こすのも、防ぐのも組織風土

ここ数年、企業の不祥事が後を絶ちません。

2016年にニュースとなった

●M自動車の燃費データ不正
●Tゴムの免震ゴムのデータ改ざん
●M不動産グループの販売したマンションの傾斜問題
●大手家電メーカーT社の粉飾決算

・・・など
えっ!あの会社が?! という、私たちが、一流企業と思っていた会社がいくつも挙がってきました。

そして、その後も・・・

●N自動車の無資格者による新車点検偽装
●K製鋼の強度データ改ざん
●自動車メーカーS社の完成車の検査データ改ざん
●S銀行の不正融資
●油圧機器メーカーY社の免震・制振装置の検査データ改ざん

・・・などなど

世間の目が厳しくなっているにもかかわらず、なくなるどころか、さらに出てくる状況です。

このような事件があると、必ず言われるが、「どうして防げなかったのか」ということ。

おそらく・・・ではありますが、私は、不祥事が起きた組織には、ほぼ間違いなく組織にイライラやモヤモヤが蔓延していたのではないかと思っています。なぜなら、たいがいの場合、「規則や手順は整っているのに、守られなかった」、「納期やコストを考えて、勝手にやった」という主旨の話が出てくるからです。

そして・・・

残念なことに、これらの会社の多くでは、不祥事発覚の後でも、また新たな不祥事が発覚する・・・というようなことが起きたりしています。

こうしたことなどから考えていくと、組織において不祥事が起きてしまう背景には、職場環境や組織風土に問題があると言っても過言ではないと思うわけです。逆の見方をすれば、「職場を活性化し、良い職場風土を作っていけば、不正等の不祥事は起きるはずがない」というのが私の考えです。

イライラ、モヤモヤの原因にはいろいろなことがあるでしょう。

例えば・・・行き過ぎた数字や目標への執着

数字や目標の達成は企業としてとても重要です。それを否定するつもりはありません。
しかし、そればかり・・・、それがすべて・・・というのは、どこか違う気がします。

どのようなことにでも、できることとできないことがあります。また、良い時もあれば悪い時もあるのです。こんなことは、誰しもが理解している・・・はずなのですが、こと仕事となると、ついついそのことを忘れてしまい「なにがなんでも」と無理をしてしまう(させてしまう)ということが起きてしまうのではないでしょうか。
その結果、組織や職場にイライラやモヤモヤが蔓延していく・・・

そして、イライラ、モヤモヤが蔓延し、上の顔色を見て、びくびくしているような職場環境では、悪いことだとわかっていても、保身のために嘘をつき、いや、そこまでいかなくても、言い出せずに時が経ってしまい・・・ということが、頻繁に起きているはずです。そして、そうしたもの中に爆弾が紛れ込んでいて、それがある時爆発して不祥事が発覚するという構図は、容易に想像できるのではないでしょうか。

また、受身で目的意識の低い集団では、上から言われたことやそれまでやっていたことをただ受け入れるだけで、それがコンプライアンス的に問題があったとしても、その間違いに気づくことができなかったりするでしょう。いや、そうした組織では、必要以上に軋轢が起きることを「良くないこと」としてしまうため、たとえその問題に気づいた人がいたとしても、その意見が「うるさいことをいう面倒くさい人」という誤ったレッテルとなり、排除されていく・・・という望ましくないことになってしまったりしていることって、意外と多いのではないでしょうか。

逆に、会社や上司と、社員との間に信頼関係が構築され、社員が健康で生き生きと働け、会社や上司が、自分のことをちゃんと見てくれていると感じられる職場環境であれば、「この人たちに迷惑はかけられない」と考え、そして「話せばなんとかしてくれる」と思い、報告・連絡・相談が早くされ、間違いを指摘した意見も正しく受け入れられ、不祥事を未然に防ぐことができる。

確かに、注意喚起や教育も大事です。

しかし、人間というのは、自らの意思でそうしようと思わなければ、そのように行動しない生き物です。

職場にイライラ、モヤモヤが蔓延し、びくびくしている環境では、いくら注意喚起や教育をしても押し付けになってしまい、自らの意思でそうしようと思う可能性は低いでしょう。

で、あれば、職場環境をいかに活性化し良い職場風土を作っていくか、これが、不祥事を予防する一番の近道だといえるのではないでしょうか。

不正や不祥事を誘発する言葉

「何とかならないか!」

職場においてよく使われる言葉です。

特に上司が部下にこの言葉を発することが多いでしょう。

この「何とかならないか!」という言葉を上司が発する時、そこには「何とかしろ!」という意味が強かったりするはずです。

そこには、一番大切なことよりも、自分、あるいは自分たちという基軸で物事を考え、「何とかしたい」というある種のエゴが見え隠れするのです。

会社や上司のこうしたエゴから発っせられた「何とかならないか!」は、それが法律などコンプライアンスに関すること、売上や利益など数字に関することであった場合、部下や担当者は強烈なプレッシャーを感じることでしょう。その結果、「コンプライアンスの解釈をねじまげて対応する」「数字を操作する」などということが起きてしまう。

このようなことって、気をつけなければ意外と簡単に発生してしまうのです。

だから、とにかく「コンプライアンスに関しては守る!」「数字に関しては受け止める!」

まず、このことを順守したうえで「何とかする方法を考えよう!」と、上司が一緒になって対応を考えるということこのことが大切なのです。

そのためには、職場の中で「何とかならないか!」、ましてや「何とかしろ!」という言葉は、特に上司は使わない。

そのかわりに「何とかしよう」という、主語に上司自身も含まれている言葉を使うようにする。こうしたことも良い職場環境には、必要なことかもしれません。

こうしたことは、一つの例ですが、このように職場を活性化し、風通しの良い組織風土作りを阻害しているのは、指導や管理ということで行われている上司の言動が、実は大きな要因だったりするのです。

ですから、管理職へのマネジメント教育において、こうしたことも周知徹底していく必要があるといえるでしょう。

ヒューマシー人事労務研究所では、社員教育、労務管理教育、労務・採用コンサルティング、ハラスメント対策、働き方改革実施支援などのコンサルテーションで、職場の活性化、組織風土作りをお手伝いしております。<サービスメニュー>
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★本コラムは2016年9月10日に公開した記事を2017年10月10日及び2018年10月22日に修正加筆しております