部下力と諫言力を身につけて職場の人間関係を良好に保つ方法

会社や組織などの職場で起きる問題の中で多いのが、人間関係に関すること。その中でも上司と部下の人間関係における問題が一番多いと言ってよいでしょう。
そして、そうした問題が起きた時の原因や改善策として取り上げられるのが、上司のマネジメントやリーダーシップについてです。確かにそうした問題の多くは、上司のマネジメントやリーダーシップに問題があることが多いのですが、喧嘩両成敗というわけではありませんが、部下の側にも気づき改善すべき課題があることも多かったりします。

と、いうことで、今回は、上司という管理職の立場ではなく、部下である立場において、職場や組織でどのように考え行動していくと職場における上司との人間関係で苦しまずにすむのかということを考えてみたいと思います。

部下力

上司のことを理解していますか?

さて、部下の立場である皆さん、貴方は自分の上司のことをどれくらい理解しているでしょうか?

1.上司が今一番気になっている仕事は何でしょう?
2.上司の得意な仕事は何でしょう?
3.上司があまり好きではない仕事は何でしょう?

いかがでしょうか?すぐに出てきましたか?意外と難しかったのではないでしょうか。
もちろん上司が伝えてくれないとわからないものもあります。でも、上司が自分の好きじゃない、あるいは苦手な仕事を自ら部下に話すなんてことはそうないことではないでしょうか。だから、部下である貴方が理解しようとしなければ、たぶん気づかないことのほうが多いでしょう。

「上司は完璧である・・・べき」
「上司は何でも知っている・・・はず」

部下とすれば、このように上司に対し思い期待してしまいがちですが、残念ながらそのような上司は、まずいないでしょう。これは、上司も人間であると考えれば、比較的簡単に理解できると思います。そう、完璧で何でも知っている、何でもできるなんて人は、この世の中には存在しないのです。
だから、会社や組織として良い成果を出せるようにするためには、上司がリーダーシップを発揮することも大事ですが、それだけなく部下である貴方が上司を支え補うということも大切なことなのです。

そのためには、「上司が今一番しないといけないことは何だろう?」「うちの上司、商品知識とかめちゃめちゃ詳しいだけど、パソコン使うのは苦手なんだよな」「部長は営業出身なので対外的な交渉はすごいんだけど、この仕事に関する専門知識は少し弱いんだよね」「こういう話になるとすぐ機嫌が悪くなるんだよね」・・・など、部下は自分の上司のことを理解しようとする必要があるでしょう。こう言われると「上司のご機嫌とり」とか「ゴマすり」というように感じる方もいらっしゃるのですが、そういうことではないのです。上司に関心を持ち理解をするということは、結果的に自分が仕事をしやすくなり、良い仕事をすることにつながることなのです。

例えば、上司が、今、最優先でしなければならない仕事を理解していれば、その優先度によっては相談や報告のタイミングをずらすということも状況が許すのであればできるでしょう。また、自分の仕事の状況に余裕があれば必要なサポートを申し出ることができるかもしれません。さらには、上司が得意でない、苦手な仕事を理解していれば、そのことを積極的に補うことで、組織としてスピーディーに良い仕事ができる可能性を高めることができます。

そして、こうしたことができる能力のことを「部下力」と言うのです。

部下力を発揮することは、組織としてスピーディーに良い成果を出すことにつながります。そして、そうした部下力を発揮している社員は、上司にとってはもちろん組織にとっても必要な人材となっていくことでしょう。さらには、上司を補う部下力を身につけるということは、自分自身の仕事におけるスキルを磨いていくことにもなるでしょう。そして、こうした部下力を部下が発揮できれば、貴方に対する会社や上司からの評価も高くなるでしょうし、上司との間で人間関係の問題がおきる可能性も低くなるはずなのです。

いかがでしょうか。
こうしたことが実現できれば、上司もハッピー、貴方もハッピー、そして職場の同僚もハッピーとなり、会社や組織も活性化していくのではないでしょうか。そう、誰もが幸せになれるのです。そして、そうした職場こそが生き活きとした職場であると言えるのではないでしょうか。

では、部下力を磨くためにはどうすれば良いのか・・・
先に少しだけ触れましたが、次にこのことについて、もう少し詳しく考えてみたいと思います。

部下力を高め発揮する・・・そのために有効な方法として、上司の仕事の「好き嫌い」や「得意不得意」をいろいろな手を使って見抜くということがあります。つまり、普段から上司を観察すると言うことです。

例えば、「自分の経験や成功事例などを熱く語る仕事」は得意な仕事、「丁寧に具体的な指示を出す仕事」は得意だったり好きな仕事。逆に、「指示が曖昧な仕事」はあまり得意でなかったり嫌いな仕事、「メールなどへの反応が遅い仕事」は嫌いな仕事・・・というように、普段の会話や指示の出し方、ホウレンソウへのレスポンスなど、いろいろな場面での上司の言動から推察していくのです。
最初は、当たらないことも多いと思いますが、こうした意識を持って、上司と接していくと少しずつ当たってくるから不思議なものです。
そして、そうなればしめたものなのです。上司が嫌いや不得手なことを、さりげなく、そして積極的に補うようにしましょう。
ほんとうの意味での部下力は、ここまでできて発揮できたといえます。
こうして部下力を身につけ発揮できれば、上司から信頼される部下になるでしょうし、組織の成果にあなたが大きく貢献することになるでしょう。
部下力とは、組織が最大の力を発揮し成果をあげていくために発揮するものであり、それを身につけていくことであなた自身の人間力を高めていくことになる・・・とてもポジティブなものです!
だから、部下力を磨く努力は怠らないようにしましょう。

2e8ac716e5a67106227f8ec3c2fe4896_s

諫言力

必要な批判もある

とはいえ、SNSのように何でもかんでも「いいね」と言って、何でもかんでも軋轢を避けることも、組織や職場では避けなければなりません。
コンプライアンスに反すること、どうしてもひっかかることがある場合などは、上司に対しても意見や提案をしなければなりません。そうでなければ、単に盲目的に上司についていくだけ・・・それこそ「ご機嫌取り」や「ゴマすり」になってしまいます。

諌言(かんげん)力

聞き慣れない言葉かもしれないですが、皆さんイメージが湧くでしょうか?
辞書をひくと「諌言=いさめること」と書かれています。
もう少しイメージ湧きやすい言い方でいうと「私心のない批判力」とでも言えば良いでしょうか。
ちょっと具体的な例をあげると、時代劇で殿様の横暴に、家来が命をとして「殿おやめください!」とやるあれのこと・・・といえばわかりやすいかと思います。
以前のコラム〈組織や会社の矛盾・理不尽・不条理を受けとめる方法〉でも書いたように、会社や職場の不条理や矛盾、理不尽に対し、なんでもかんでも批判するのは嫌われるもとですが、法令違反や人としてどうなんだということには、指摘や問題提起をしなければならないでしょう。
この指摘や問題提起を単なる批判と一色端にしてはならないのです。

そう、必要な批判もあるのです。
それが「私心のない批判」・・・つまり、「諌言力」なのです。

そして、諌言力を発揮するには、当然ですが、なによりも私心のないことがポイントとなります。
だから、会社や職場で何か批判をしたくなった時は、その根底に自分のためという私心がないかどうかを自分の中で問うてみることが必要であるといえるでしょう。
その時に・・・そうした私心がないのであれば、会社や組織のために堂々と諌言力を発揮する。これが大事なのだと思います。

ちなみに、こうした私心のない諫言力をどう発揮していけば良いのか・・・については、著書「我慢する理由:職場の矛盾や理不尽、人間関係に向き合いストレスに強くなる方法」(Amazon-kindle版)で詳しく説明しております。よろしければ、読んでみてください。

232946

最後は、人としてどうなのか…

しかし、これを受け入れてもらえるかどうかは、上司の器次第であるということも頭においておきましょう。このことも大切なことです。
つまり、仮に受け入れてもらえなかった時は、それに固執しない潔さを持つことも大切なのだということです。

固執はしないけれど、自分なりにリスクや問題に気づいているのですから、無駄になるかもしれないけれども、万が一に備えて自分ができる準備をしておく。こうしたことができれば、なお良いでしょう。
そして、自分の諫言したようなことが起きなければ、それはそれで組織にとって良かった・・・と考え、万が一、諫言したようなリスクや問題が起きた場合は、その準備したものを提供する・・・そうすれば、組織のリスクやトラブルを最小限に止めることにつながる可能性が出てきます。そうしたことも、部下力を発揮することになると言えるでしょう。
ただ、その時に望ましい部下力を発揮したことになるために気をつけなければならないことがあります。それは、「自分があの時に言ったのに・・・」とか「ほら言った通りじゃない」・・・などという発言や態度をしないということです。そうしたことをした瞬間に、私心が表に現れると思ったほうがよいでしょう。こうならないようにするためには、部下力を磨くことが必要でしょう。いい形で部下力を磨いていけると良いと思います。

あと、諫言をしたことが、不正や犯罪に繋がるようなものであるのに受け入れてもらえない時は、固執しないではなく、然るべきルート(内部告発など)を使ってでも止めるべきでしょう。それが会社や組織を守るということなのだと思います。ただ、そうしたことをするのには相当の勇気がいります。ですので、どうしてもそこまでする勇気が出せない、あるいはそうしたけれど然るべきルートがないというような場合には、その組織以外の外に目を向ける、そういう視点も必要になることもあるでしょう。
そう、最後は人としてどうなのか・・・これを基準にすべきだと思います。

ヒューマシー人事労務研究所では、こうした部下力を発揮できる社員を創るための社員研修をご用意しております。
ぜひお気軽にご相談ください。
7145039f0e355ca043a021804931dcc2_s

【お問合わせ】

会社名・団体名(必須)

ご担当者様氏名(必須)

メールアドレス(必須)

電話番号

お問い合わせ内容(必須)