職場活性化のヒント・・・機心とは

機心を知ることは職場の活性化につながる・・・

「機心」という言葉をご存知でしょうか。

機械を有する者は、必ず機事有り。機事有る者は、必ず機心有り。機心胸中に存ずれば、すなわち純白備わらず。

という中国の古典「荘子」の中に出てくるお話です。

孔子の弟子である子貢という者が、旅の途中にある光景に出会った。
ある老人が井戸からかめで水を汲んでは、畑に水を撒いている。水を汲んでは運んで撒き、また戻ってきて水を汲む・・・いかにも効率が悪い。
そこで子貢は、その老人に「ハネツルベといういいものがありますよ。ハネツルベを使えば、流れるように水を汲み上げ、効率的に水撒きができますよ」と声をかけた。
すると、老人は言いました。
「わしもハネツルベは知っている。だが、機械を使う者は必ず機事がある。機事がある者は必ず機心がある。機心が胸の中に存在すると、もっとうまくやろうと考えて純白な心がなくなる。そうすると精神の本性が定まらずに、天の道から外れてしまう。だから、わしはハネツルベを知っているけど使わないのだよ」と・・・

私も少し前にNHKの「100分で名著」という番組を見ていて、この「機心」という言葉を知ったのですが。私は、この「機心」を知った時に、ある種の衝撃を受けました。これこそ、今、多くの職場で起きている問題の理由の一つではないかと・・・

番組の中でゲスト講師の玄侑宗久氏が、「機心」の説明で「効率化というのは、私たち人間に余裕を作るためにするものだが、例えば連絡の仕方についてだと、昔は手紙しかなかったので、連絡を取るのに1週間とかそれ以上待つことができた。その後FAXができ、その時間は短くなったが、それでも2~3日は待てたのではないか。しかし、メールでの連絡になると、数時間で返事が来ないと心配で仕方なくなってくる。結果的に余裕をなくしていないでしょうか。」というようなお話をされていて、私はえらく納得してしまったのです。

確かにおっしゃるとおり、メールで効率化されたのは時間だけれども、人間の心は余裕をなくしてしまっている。
付け加えれば、LINEなどSNSの普及によって「既読」がついているのに返信がないことで、関係にヒビが入ってしまったり、不安にさいなわれてしまったりと、便利なのだけれど「機心」といえる事象が増えているといえないでしょうか。

ただ、現代社会において、機械のない生活や仕事は存在し得ないと思うので、「機械に頼り過ぎると」と解釈するのがしっくりくると思いますが、このような機心に当てはまること、今の私たちの職場にたくさんあるのではないでしょうか。

例えば、
・すぐ近くに座っているのにメールでやり取りする。
・なんでもシステムで手続きしないと、仕事が流れない・・・etc.

その結果、コミュニケーションに心遣いなどが感じられない機械的な仕事・・・まさに機事が増えているといえないでしょうか。

荘子は、2000年以上昔に書かれたものですが、その時代から、機械に頼りすぎることへの警鐘が鳴らされていたと考えるとすごいことです。
そして、今、機械化やシステム化がなくてはならない時代になっているからこそ、この機心という言葉の意味が重く感じられるのではないかと思うのです。

そう考えると、この「機心」というものが、今、職場に蔓延しているイライラやモヤモヤの原因の一つであり、逆の見方をすると、職場の活性化を進めるためのヒントの一つだと思うのです。

つまり、いくら機械化やシステム化が進んでも、仕事をするのは、今も昔も人と人であるということを思い出し、人としての心を持って仕事をする。

このことを職場に広めていくことが、職場の活性化につながると私は考えるのです。

ヒューマシー人事労務研究所では、こうした考え方も参考にした社員教育や組織風土作り、労務対応支援、健康経営導入支援などを行っています。
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