「叱る」と「怒る」の違いとは

「叱る」と「怒る」

叱っています?怒っています?

「叱る」と「怒る」

さて、管理職の皆さん、あなたは部下を指導する時どちらの対応をしているでしょうか?

「叱る」と「怒る」・・・
「同じことじゃないの」と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、まったく違います!

今回は、この「叱る」と「怒る」の違いについてお話してみたいと思います。

主役の違い

「叱る」と「怒る」は何が違うでしょうか?

その違い・・・

それは「主役が違う」ということです。

「叱る」という行為には、相手に通じる通じないは置いておいて

・相手に気づいてほしい
・相手を育てたい
・相手に良くなってもらいたい

という気持ちが、叱る側にあります。

つまり、相手が主役なのです。

一方、「怒る」という行為には

・けしからん
・許せん
・何をやっているんだ
・なぜ言うことをきかない

といった気持ちがあり、自分が主役になっているのです。

理性的と感情的

その結果

叱る=理性的
怒る=感情的

という違いが生じます。

理性とは、人間が持つ「感情に溺れずに筋道を立てて物事を判断する能力」です。
ですので、冷静に相手のことを考えて指導や注意をすることができるのです。

しかし、「怒る」は感情的ですので、本能のまま相手に自分の怒りをぶつけるだけになってしまうのです。

だから、冷静に相手のことを考えて なんてできるはずがありません。

そして、

叱るは愛情や信頼を育み
怒るは憎しみや不信を生む

のです。

だから、職場やビジネスの場だけでなく、子育てなどにおいても、この 「叱る」と「怒る」の違いを認識し意識して実践していくことが大切なのです。

「こんなに言っているのに、相手が言うことを聞かない」という方は、一度、その時の自分の心持ちを思い出してみましょう。

主役は相手ですか?それとも自分ですか?

もし、自分であったなら、指導や注意をしているつもりで実は、そうなっていないということが起きているのかもしれないですよ。

人は思い通りに動いてくれないもの

私たちは、指導や注意、しつけなどとなると、どうしても相手を変えようと思ってしまいます。

しかし、現実的には、そう思えば思うほど、相手は思い通りには動いてくれない、変わってくれない・・・
そして、悩んだり、イライラしたりしてしまう。そういうものです。

このことは、あなたが指導や注意をされている相手の立場になれば、簡単にその理由がわかるはずです。
つまり、「自分はどうだろう」と考えてみるのです。

どうでしょうか。

そう、自分がそうしようと思えばやるし、変わる、けれど、そう思わなければやらないし、変わらない のではないでしょうか。

そうだとすれば、自分がそうであれば、他人もそうなのです。

人を他人が変えるということは不可能で、人は自分の意思でのみで変わるのです。

だから、人は思い通りに動いてくれない・・・これが当たり前なのです。

指導や注意をしたら、相手がそれを聞いて思い通りに動くことが当たり前ではないのです。

私たちは、まずこのことをきちんと理解し認識する必要があります。

そうすれば、ほら、少なくとも「怒り」が湧いてくることが少なくなるのではないでしょうか。

そうなればしめたものです。
「怒る」のでなければ、少なくとも感情的にならずに冷静に考えることができます。
冷静に考えることができれば、相手が自分の意思で望ましい行動や変化をしてくれるためにはどういうアクションをすれば良いのかを考えて、「叱ったり」「働きかけたり」することができるはずです。
そうすれば、ほら、相手が変化してくれる確率が確実に高くなると思いませんか。

「叱る」と「怒る」の違いを理解し冷静に指導や注意をする

そのためにも、「叱る」と「怒る」の違いを理解し、「人は思い通りには動いてくれないもの」と認識したうえで、指導や注意をしていくことが肝要だといえるでしょう。

そうしていけば、部下は上司であるあなたの指導や注意を受け止め、望ましい言動をするように変わる可能性が高くなるはずです。
そのことは、管理職に対する部下からの信頼が高まったことを意味し、組織風土が高まることにつながるはずなのです。
そして、組織風土が高まれば、管理職自身が組織マネジメントするうえでやりやすくなる、という好循環が生まれてくるのではないでしょうか。

そう考えれば、管理職が「怒る」のではなく、「叱る」という意識を持つことが大切であることが理解して頂けるのではないかと思います。

最後に「叱る」と「怒る」を意識して使い分ける方法をお伝えして、今回のコラムを終えたいと思います。

「叱る」と「怒る」を使い分ける方法・・・それは、職場では「怒る」「怒られた」という言葉を使わないということです。

部下に指導や注意をした後、「〇〇に怒ってやった」というのではなく、「〇〇を叱った」
自分が上司に指導や注意を受けたときは、「怒られた」ではなく「叱られた」・・・など

このように「怒る」「怒られた」という言葉を使わないようにするだけで、その都度、「怒らないで冷静に」とか「相手のことを考えるから叱るのだ」という意識を持つようになり、実際冷静になれ、自分の感情を抑えた言動が、少しずつできるようになるのです。

ぜひお試しください。

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